6.07.2017

Fly and Ride

アメリカの片田舎ではバス停や鉄道の駅はなくても、小さな飛行場があったりする。主に個人で所有し、操縦する小型飛行機のための施設だ。アメリカ50州の中で一番小さなハワイでさえ、小さな村の片隅に滑走路と簡易な管制施設を備えた飛行場がそれぞれの島にある。アメリカ国内ではプライベートの飛行機で移動することはそれほど特別なことではない。通勤に使っている人さえいるほどだ。人里離れた遠隔地にバケーションに出かけることもある。そんなときに困るのが飛行場から目的地までの移動だ。

ユナイテッド航空のキャプテンだったローレンス・S・シャピロがその問題を解決するために便利な道具を考え出した。スーツケース・サイクルと呼ばれる小さな飛行機の荷室に収納できるように改造したオートバイを作り、販売を始めたのだ。いくつかベースとなった車種があったようだが、そのひとつで、もっとも生産台数が多かったのがホンダCT90だった。

スーツケース・サイクルを分解または組み立てるために工具は必要なかった。フレームのダウンチューブには独創的な分割機構が、ハンドル、リアフェンダーとラック、前後ホイールにはクィックリリース機構が採用された。最終的にカスタマイズされたパーツは90に及んだという。

1960年にプロトタイプが生まれ、1974年に生産が終了するまで1,000台以上のスーツケース・サイクルが製造された。現在、残されたスーツケース・サイクルは自家用飛行機のパイロットやホンダのコレクターに高値で取り引きされているらしい。キャンピングカーに積載するためのクィックリリースのハンドルロックをホンダはCT90に装備していたが、さらなる利便性を求めて開発されたオートバイがあった。いかにもアメリカらしいエピソードだ。



写真はすべてHemmings Motor Newsより

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